【身体障害者手帳】種類や等級、申請方法やメリットなどわかりやすく解説【体験談】

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ハンディキャップのある人のための福祉制度の1つで、「身体障害者手帳」はよく知られていると思います。名前は知っているけど、内容についてはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

「身体障害者手帳」とは、身体に障害のある人に対して自治体が交付する手帳のことです。「身体障害者手帳」を取得していると、障害福祉サービスや自治体などの提供するサービスを受けることができます。

この記事では、3歳で発症した「小児がん(肝芽腫)」の治療により晩期合併症で薬剤性感音性難聴となり、6歳で聴覚障害の身体障害者手帳を取得し、7歳で「発達障害」と診断を受けた経験などをもとに、「身体障害者手帳の種類や等級、取得するメリットなどやうちの子の場合の体験談」を紹介します

「身体障害者手帳」とは

「身体障害者手帳」とは、身体障害者福祉法に定められた身体の機能に障害があると認められた方に交付される手帳のことをいいます。

身体障害者手帳制度は、身体障害者福祉法に基づき、都道府県、指定都市又は中核市において障害の認定や交付の事務が行われています。
身体障害者手帳の交付申請は、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が指定する医師の診断書・意見書、身体に障害のある方の写真を用意し、お近くの福祉事務所又は市役所にて行います。

引用元:厚生労働省

「身体障害者手帳」を取得すると、自治体などのさまざまなサービスが利用できますが、症状の種類や等級によってはその内容も変わります。

身体障害者福祉法上の身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の方とありますが、18歳未満の方についても、身体障害者手帳の交付がされます

身体障害者手帳の種類

身体障害者福祉法に定められた身体上の機能に障害があるもの。

  • 視覚障害
  •  聴覚又は平衡へいこう機能の障害
  •  音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  •  肢体したい不自由
  •  心臓、じん臓または呼吸器の機能の障害
  •  ぼうこう又は直腸の機能の障害
  •  小腸の機能の障害
  •  ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能の障害
  • 肝臓の機能の障害など

いずれも一定以上で永続することが要件とされています。

身体障害者手帳の等級

障害名等級症状
視覚障害1~6級まで視機能の永続的な低下により、学習や生活に支障がある状態のこと。
聴覚又は平衡機能の障害1~6級まで
(*平衡機能障害は3級、5級
「聴覚」:音や声が聞こえない、あるいは聞こえにくい状態のこと。「平衡機能」:姿勢を調節する機能の障害であり、四肢体幹に異常がないにも関わらず起立や歩行に異常がある。
音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害3級、5級「音声・言語機能」:音声、言語のみを使用して意志の疎通が困難な状態のこと。「そしゃく機能」:食べ物を噛み砕いて飲み込むそしゃく・嚥下えんげ機能の低下により、食事の内容や方法に制限がある状態のこと。
肢体不自由     1~7級まで        (*7級相当の障害が2つ以上ある時は6級)四肢(上肢・下肢)、体幹(腹筋、背筋、胸筋、足の筋肉を含む胴体の部分)が病気や怪我で損なわれ、長期にわたり歩行や筆記などの日常生活の動作に困難な状態のこと。
心臓、じん臓または呼吸器の機能の障害1~4級まで「心臓」「じん臓」「呼吸器」:疾患等により永続的に心臓機能の著しい低下のある状態のこと。:
ぼうこう又は直腸の機能の障害膀胱や直腸に機能障害が生じる状態のこと。
小腸の機能の障害小腸切除又は小腸疾患により永続的な小腸機能の著しい低下のある状態のこと。
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害HIV というヒト免疫不全ウイルスという病原体に感染すると、白血球の一種であるリンパ球を破壊し、免疫機能を低下させ、日常生活の活動が著しく制限される状態のこと。
肝臓の機能の障害何らかの原因によって肝細胞が障害を受け炎症が起こり、肝細胞が壊されてしまう状態のこと。

身体障害者手帳は、障害の程度により1級から6級までの等級区分があります。

肢体不自由には7級がありますが、7級単体では身体障害者手帳は交付されません。7級の障害が2つ以上重複する場合や、7級の障害が6級以上の障害と重複する場合などに交付対象になります。

参考:身体障害者手帳認定基準(PDF)

身体障害者手帳のメリット

「身体障害者手帳」を取得すると、障害福祉サービスや自治体などのさまざまな支援などを受けることができます。

障害者割引や福祉サービス

公共料金の割引や助成金制度、税金の軽減などのサービスを受けることができます。

  • JRやバス・航空運賃などの公共機関の割引
  • 博物館などの公共施設の割引
  • NHK受信料の割引
  • 携帯電話基本料金の割引
  • 医療費の助成(心身障害者医療費助成制度など)
  • 福祉手当の支給や助成、貸付制度の利用
  • 公営住宅の優先入居など

身体障害者手帳の等級や所得状況によって、自治体で受けることができる割引や福祉サービスは違いますので、お住まいの自治体のホームページや障害福祉課などの窓口などで確認しましょう。

身体障害者手帳の等級によって、受けられるサービスは異なりますので、該当するかどうか自治体で確認して手続きをしましょう。

障害者控除

障害者控除とは、納税者本人、配偶者、扶養親族に障害がある場合の所得控除のことをいいます。

障害者所得税 27万住民税 26万
特別障害者所得税 40万住民税 30万
同居特別障害者所得税 75万住民税 53万

等級が、1級の場合には「特別障害者」に該当し、通常の障害者控除よりも高い控除を受けることができます。同じ家計で生活している配偶者や扶養親族と同居している特別障害者は「同居特別障害者」に該当し、より高い控除を受けることができます。

  • 会社員の方は、年末調整で「扶養控除等の申告書」を提出する。
  • 個人事業主や年末調整対象外の方は、確定申告の際に申告する。

詳しくは、お住まいの税務署にお問い合わせください。

参考:障害者控除|国税庁

就労支援

「身体障害者手帳」を取得していると、就労に関する支援やサービスを受けることができます。

障害者求人障害者手帳を持つ方が応募できる求人のことで、障害のある方が働きやすくなるような配慮が受けやすい。
公共職業安定所
(ハローワーク)
障害者求人を調べることができる。障害者用窓口もあり、職員と相談しながら、障害者求人の選択や面接の設定などを行う。
障害者職業センター就職のため訓練や、講習などを受けることができる。また、リハビリテーション計画の作成、職業適性検査など働くための支援を受けることもできる。

就職を目標にしている時に、障害者雇用枠での就職や転職をすることができると、通院や治療などの理解をしてもらえたり、障害に合わせた配慮などを会社に求めることができるようになります。

申請方法

お住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口で申請します。

【申請の流れ】

  1. 市区町村の障害福祉窓口で申請することを伝え、必要な申請書類をもらう。
  2. 主治医(*指定医)に診断書を書いてもらうよう依頼する。
  3. 申請書や診断書などの必要書類を、市区町村の障害福祉窓口に提出する。

*指定医とは、身体障害者福祉法第15条の指定を受けている医師のことをいいます。

必要書類

  • 交付申請書
  • 医師(指定医)の診断書・意見書
  • 写真(縦4㎝×横3㎝)
  • 本人確認書類(マイナンバーなど)

自治体や市区町村によりますが、申請から手帳の交付までに約2カ月ぐらいかかります。

主治医が指定医でない場合は、主治医から指定医の紹介を受けるか、自治体窓口で確認をしましょう。

うちの子の場合

うちの子(かっくん)の場合は、6歳で「身体障害者手帳」を取得しました。

かっくんは、3歳で「小児がん(肝芽腫かんがしゅ)」を発症し、長期にわたり抗がん剤治療をしました。その抗がん剤(シスプラチン系)の副作用により、高い音が聞こえない薬剤性の感音性難聴になりました。言葉を習得した後だったので、かっくんが発する言語には問題はありません。
  • 3歳「小児がん(肝芽腫かんがしゅ)を発症。
  • ステージⅣのため、化学療法スタート。
  • 長期間シスプラチン系の抗がん剤の治療をする。
  • 自家末梢血幹細胞移植のための前処置で超大量化学療法を行う。
  • その後に、高音域の聴力が低下し始める。
  • 6歳で、感音性難聴の聴覚障害で「身体障害者手帳」4級取得。

かっくんは、言葉を習得した後に聴力が低下したので、中途難聴者になりました。かっくんの発する言葉には問題がなく、聞こえないことに気づいてもらえないことが多いです。コミュニケーションがうまく取れない時に「無視した」などと誤解を受けやすく、内容がわからないけど「うん。」と答えてしまうことがあります。それが後からトラブルとなる場合もあるので注意が必要です

かっくんの聴力検査のオージオグラムです↓。

  • 低音域は聞こえる。
  • 高音域が聞こえない。(体温計、電子レンジ、インターホン、電話、猫の鳴き声など。)
  • 語音明瞭度が40%未満のため、言葉が聞き取れない。

*語音明瞭度とは、耳から入ってきた音を言葉に変換する力が弱く、いくら音を大きくしても言葉としてはっきりと聞こえないことをいいます。

かっくんは、補聴器をしても語音明瞭度が低いため効果がありませんでした。人工内耳を検討しましたが、今残っている聴力を傷つけてしまう可能性があるので断念しました。今はLINEやメールなど、さまざまなツールがあるのでうまく活用しています。

聞こえない時は、「言葉」と「筆談」が効果的です。大事な話をする時には、事前に「絵と文字で書いたもの」を準備して話をするとスムーズに理解できますよ

下記で、小児がん(肝芽腫)の治療や晩期合併症について紹介していますので、参考までにどうぞ。

》【小児がん】肝芽腫とは?症状や治療法とうちの子の場合の体験談

》【小児がん】晩期合併症とは?障害の種類や症状、うちの子の場合の体験談

まとめ

「身体障害者手帳」とは、身体障害者福祉法に定められた身体の機能に障害があると認められた方に交付される手帳のことをいいます。「身体障害者手帳」を取得していると、障害福祉サービスや自治体などの提供するサービスを受けることができます。

身体に障害のある方は、症状の程度や部位などによっての困難さがあり、日常生活や仕事がうまく行かないことが多くあります。それぞれの負担を軽減し、生活や仕事をサポートするためにさまざまな支援制度が用意されています

身体障害者手帳を持つことで、受けられるさまざまな支援やサービスを上手く活用することで、少しでも生きづらさや負担を軽くすることができます。また、障害者割引や控除などもあり経済的な負担も軽減されることもあるため、対象となる方は取得を検討してみてはいかがでしょうか。

》「療育手帳」とは?対象者や判定、メリットなどやうちの子の場合の体験談

》「精神保健福祉手帳」とは?申請やメリットなどとうちの子の場合の体験談

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