【精神保健福祉手帳】対象者や等級、申請のメリットなどわかりやすく解説【体験談】

精神保健福祉手帳
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「精神保健福祉手帳」って知っていますか?

なんだか、マニュアル帳みたいなイメージだし、詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。

「精神保健福祉手帳」とは、何らかの精神障害の状態であることを認定するもので、長期にわたって日常生活や社会生活への制約や支障がある方への障害者手帳の1つです。

「精神保健福祉手帳」を取得すると、障害福祉サービスや自治体などの提供するサービスを受けることができます。

この記事では、3歳で発症した小児がんの闘病や、7歳で発達障害と診断を受け、15歳で「精神保健福祉手帳」を取得した子どもとの波乱万丈な経験から、

  • 精神保健福祉手帳とは?
  • 精神保健福祉手帳の対象者や等級は?
  • 精神保健福祉手帳のメリットは?
  • 精神保健福祉手帳の申請方法は?
  • うちの子の場合の体験談

などについてご紹介します。

精神保健福祉手帳とは

精神保健福祉手帳とは

「精神保健福祉手帳」とは、何らかの精神障害の状態であることを認定するもので、長期にわたって日常生活や社会生活への制約や支障がある方への障害者手帳の1つです。

障害者手帳」とは、障害のある人が取得できる手帳の総称で、障害福祉サービスや自治体などの提供するサービスを受けることができます。

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられています。 また、各方面のご協力により、手帳所持者への支援がますます広がっていくことを願っています。

引用元:厚生労働省

対象となる人

何らかの精神障害によって、長期にわたり日常生活や社会生活への制約や支障がある方が対象になります。

  • 統合失調症
  • うつ病、そううつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物やアルコール依存症など
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など)
  • その他の精神疾患など

知的障害があり精神障害がない方は、療育手帳制度があるので、手帳の対象にはなりません。

発達障害と知的障害がある場合は、「精神保健福祉手帳」と「療育手帳」の両方の手帳を取得することができます

手帳を取得するには、その精神障害による初診日から6か月以上経過していることが必要です。

等級

「精神障害者保健福祉手帳」の等級は、1級~3級があります。

1級精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない程度のもの。
・入院患者においては、院内での生活に常時援助を必要。
・在宅患者は、医療機関等への外出を自発的にできず、付き添いが必要。
・食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時援助を必要。
・親しい人との交流も少なく引きこもりがち。
・些細な出来事で、病状の再燃や悪化を生じる。
・金銭管理は困難。
2級精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は困難な程度のもの。
・付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難。
・医療機関に行くなどの習慣化された外出はできる。
・デイケア、自立訓練、就労移行支援や就労継続支援などを利用することができる。
・食事を用意するなどの家事をこなすための助言や援助が必要。
・ストレスが大きいと病状の再燃や悪化が生じる。
3級精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの。一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難など、日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難な程度のもの。
・一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難。
・デイケア、自立訓練、就労移行支援や就労継続支援などを利用する者、保護的配慮のある事業所での雇用契約により一般就労をしている者も含む。
・日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じる。

判定は、都道府県や政令指定都市などの精神保健福祉センターで行います。

参考:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について

精神保健福祉手帳のメリット

「精神保健福祉手帳」を取得すると、障害福祉サービスや自治体などのさまざまな支援などを受けることができます。

障害者割引や福祉サービス

公共料金の割引や助成金制度、税金の軽減などのサービスを受けることができます。

  • JRやバス・航空運賃などの公共機関の割引
  • 博物館などの公共施設の割引
  • NHK受信料の割引
  • 携帯電話基本料金の割引
  • 医療費の助成(心身障害者医療費助成制度など)
  • 福祉手当の支給や助成、貸付制度の利用
  • 公営住宅の優先入居など

精神保健福祉手帳の等級や所得状況によって、自治体で受けることができる割引や福祉サービスは違いますので、お住まいの自治体のホームページや障害福祉課などの窓口などで確認しましょう。

精神保健福祉手帳の等級によって、受けられるサービスは異なりますので、該当するかどうか自治体で確認して手続きをしましょう。

障害者控除

障害者控除とは、納税者本人、配偶者、扶養親族に障害がある場合の所得控除のことをいいます。

障害者所得税 27万住民税 26万
特別障害者所得税 40万住民税 30万
同居特別障害者所得税 75万住民税 53万

等級が、1級の場合には「特別障害者」に該当し、通常の障害者控除よりも高い控除を受けることができます。

同じ家計で生活している配偶者や扶養親族と同居している特別障害者は「同居特別障害者」に該当し、より高い控除を受けることができます。

  • 会社員の方は、年末調整で「扶養控除等の申告書」を提出する。
  • 個人事業主や年末調整対象外の方は、確定申告の際に申告する。

詳しくは、お住まいの税務署にお問い合わせください。

参考:障害者控除|国税庁

就労支援

「精神保健福祉手帳」を取得していると、就労に関する支援やサービスを受けることができます。

障害者求人障害者手帳を持つ方が応募できる求人のことで、障害のある方が働きやすくなるような配慮が受けやすい。
公共職業安定所
(ハローワーク)
障害者求人を調べることができる。障害者用窓口もあり、職員と相談しながら、障害者求人の選択や面接の設定などを行う。
障害者職業センター就職のため訓練や、講習などを受けることができる。また、リハビリテーション計画の作成、職業適性検査など働くための支援を受けることもできる。

就職を目標にしている時に、障害者雇用枠での就職や転職をすることができると、通院や治療などの理解をしてもらえたり、障害に合わせた配慮などを会社に求めることができるようになります。

申請方法

お住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口で申請します。

【申請の流れ】
  1. 市区町村の障害福祉窓口で申請することを伝え、必要な申請書類をもらう。
  2. 主治医(*指定医)に診断書を書いてもらうよう依頼する。
  3. 申請書や診断書などの必要書類を、市区町村の障害福祉窓口に提出する。
  4. 各自治体の精神保健福祉センターでの審査により等級が決定し、手帳が交付される。

自治体や市区町村によりますが、申請から手帳の交付までに約2カ月ぐらいかかります。

必要書類
【障害年金を受けていない方】
  • 申請書
  • 医師(*指定医)の診断書(精神障害の診断を受けた初診日から6か月を過ぎた日以降の診断書)
  • 写真(縦4㎝×横3㎝)
  • 本人確認書類(保険証、マイナンバーなど)
*指定医とは、精神保健指定医のことをいいます。
【精神障害による障害年金を受給している場合】
  • 申請書
  • 障害年金証書の写し
  • 年金の振込通知書の写し
  • 写真(縦4㎝×横3㎝)
  • マイナンバーなど

お住まいの市区町村によっては、同意書が必要な場合もありますので、窓口で確認しましょう。

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間なので、期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。

有効期限の3ヶ月前から申請が可能になりますので、更新手続きをしましょう

自立支援医療(精神通院医療)

自立支援医療とは、精神疾患で通院治療を受けている場合、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度のことです。

申請手続きが必要。(手帳がなくても申請できます。)

自立支援医療受給者証を医療機関などに提示することで、

医療費が公費負担となり、通常3割負担の医療費が1割負担にまで軽減されます。

精神障害者保健福祉手帳との同時申請が可能です。

自立支援医療は、1年ごとに更新する必要があります。

診断書の提出は、2年おきに必要なので、精神保健福祉手帳の更新と自立支援医療の更新時期を合わせることができます

うちの子の場合

うちの子(かっくん)の場合は、15歳で「精神保健福祉手帳」を取得しました。

病気と障害があるため、特別支援学校に通っていたかっくんは、小学5年生から不登校になりました。

  • 発達障害からの問題行動に対しての不適切な対応をされ続ける。
  • 対人恐怖症や強迫性障害などの二次障害を発症し、ひきこもりとなる。

障害者枠での就職や、子どもの何かに役に立つかもしれないと思って申請しました。

  • 3歳「小児がん(肝芽腫)」を発症し、治療により晩期合併症が残る。
  • 6歳「身体障害者手帳」を取得。(薬剤性感音性難聴、4級)
  • 1年生(6歳)「特定できない広汎性発達障害」と診断受ける。
  • 2年生(7歳)「療育手帳」を取得。(判定B-2)
  • 15歳「精神保健福祉手帳」を取得。(2級)
  • 20歳「障害年金受給(1級)の決定」により、年金証書での等級変更申請。
  • 20歳「精神保健福祉手帳」を取得。(1級)

障害年金1級が決定した後に、「精神障害で障害年金を受けている方は、年金証書での申請ができ、等級も障害年金に合わせる」ということを知り、該当するのか問い合わせてみました。

該当するかはわかりませんが、等級変更の申請をしてみてください。

そこで等級変更の申請をしたところ、精神保健福祉手帳の「1級」が認定されました

参考:年金証書等の写しによる精神障害者保健福祉手帳の障害等級の認定

下記で、発達障害の二次障害について紹介していますので、参考までにどうぞ。

》【発達障害】二次障害にはどんな症状がある?発症すると治りにくい【うちの子の場合の体験談】

まとめ

「精神保健福祉手帳」とは、何らかの精神障害の状態であることを認定するもので、長期にわたって日常生活や社会生活への制約や支障がある方への障害者手帳の1つです。

「精神保健福祉手帳」を取得すると、障害福祉サービスや自治体などの提供するサービスを受けることができます。

精神的な疾患や障害のある方は、自分ではどうすることもできない症状などに悩まされ、日常生活や社会生活がうまく行かないことが多くあります。

精神的や経済的な負担を感じていることも多いのではないでしょうか。

精神保健福祉手帳を持つことで、受けられるさまざまな支援やサービスを上手く活用することで、少しでも生きづらさや負担を軽くすることができます。

また、障害者割引や控除などもあり経済的な負担も軽減されることもあるため、対象となる方は取得を検討してみてはいかがでしょうか。

》【療育手帳】対象者や判定、メリットなどわかりやすく解説【うちの子の場合の体験談】

》【身体障害者手帳】種類や等級、申請方法やメリットなどわかりやすく解説【体験談】

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