【療育手帳】対象者や判定、メリットなどわかりやすく解説【うちの子の場合の体験談】

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ハンディを持つ人のための福祉制度の1つである「療育手帳」

聞いたことがあるけど、詳しくはわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「療育手帳」とは、児童相談所または知的障害者更生相談所で、知的障害があると判定された方に交付される手帳のことです。

「療育手帳」を取得していると、障害福祉サービスや自治体などの提供するサービスを受けることができます。

この記事では、3歳で発症した小児がんの闘病や、7歳で発達障害と診断を受け、8歳で「療育手帳」を取得した子どもの経験から、

  • 療育手帳とは?
  • 療育手帳の対象者は?
  • 療育手帳の判定は?
  • 取得するメリットはある?
  • 療育手帳の申請方法は?
  • うちの子の場合の体験談

などについてご紹介します。

療育手帳とは

「療育手帳」とは、障害者福祉制度の障害者手帳の1つで、児童相談所または知的障害者更生相談所で、知的障害があると判定された方に交付される手帳のことです。

自治体によっては「愛の手帳」といわれている場合もあります。

対象者となる人

療育手帳制度は、それぞれの自治体によって判定基準などを定められていて、自治体によりさまざまです。

知的障害のある人

  • 18歳未満に知的障害があり、それが持続している。
  • 知的検査により測定された知能指数(IQアイキュー)が、75以下がボーダーライン。(70以下と定めている自治体もある)
  • 日常生活に支障が生じていて、医療、福祉、教育、就労などで支援が必要。

18歳以上でも、取得できる場合があります。

・以前から知的障害がありながら療育手帳を申請していなかった場合

・大人になってから知的障害があることがわかったという場合

(大人になってからの病気や事故で、知的機能に障害を負った場合は、対象外です。)

発達障害のある人

  • 発達障害のある人で、知的障害もある人。
  • 発達障害の診断を受け、療育や支援が必要な人に交付する自治体もある。

療育手帳の対象にならない場合、

発達障害のある人は、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合もあります。

お住いの自治体の福祉保健担当窓口に相談してみましょう。

発達障害と判定されるのは、初診から6カ月以上通院し続けて症状が継続していることを、医師が確認している場合になります。

判定するには

判定方法
  • 知的検査により測定された知能指数(IQ)
  • 生活への支障

どの程度あるのか、自治体によって判定基準が異なる場合があります。

判定場所
  • 児童相談所(18歳未満)
  • 知的障害者更生相談所(18歳以上)
※18歳以上でも児童相談所で行こともあります。

自治体指定の心理判定員小児科医が、親子分離での面談をし、知能検査や日常の行動などをみて総合的に判定します

判定には「予約」が必要になります。お住いの地域の自治体に、手帳の申請と判定の予約をしましょう。

等級

厚生労働省では、重度(A)とそれ以外(B)に区分されます。

基準
重度(A)

① 知能指数がおよそ35以下で、次のいずれかに該当する者。         

  • 食事、着脱衣、排便および洗面等日常生活の介助を必要とする。 
  • 異食、興奮などの問題行動を有する。

② 知能指数がおよそ50以下で、「盲」「ろうあ」「肢体不自由」等を有する者

それ以外(B)

重度(A)のもの以外。

都道府県によって、細かな判定基準などが違います。

いくつかの例を紹介します。

自治体東京都など神奈川県など大阪府など
区分1度(最重度)A1(最重度)A(重度)
2度(重度)A2(重度)B1(中度)
3度(中度)B1(中度)B2(軽度)
4度(軽度)B2(軽度)

自治体によって、知能指数(IQ)と生活・看護・行動面から総合的に判断されます。

A(重度 ~IQ35)B1(中度 IQ36~50)B2(軽度 IQ51~75)

知能指数(IQ)が境界線ギリギリでも、日常生活に支障が生じていて、医療、福祉、教育、就労などで支援が必要な場合など総合的にみて判定されます。

知的障害のない発達障害の方は、精神保健福祉手帳を取得できる場合があります。

参考:メンタルヘルス|厚生労働省

療育手帳のメリット

療育手帳を取得すると、障害の証明になったり、さまざまな各種福祉サービスを受けることができるというメリットがあります。

障害者割引や福祉サービス

公共料金の割引や助成金制度、税金の軽減などのサービスを受けることができます。

  • 医療費の助成
  • 博物館などの公共施設の割引
  • JRやバス・航空運賃などの公共機関の割引
  • 携帯電話基本料金の割引
  • 公営住宅の優先入居
  • NHK受信料の免除など

療育手帳の等級や所得状況によって、自治体で受けることができる割引や福祉サービスは違いますので、お住まいの自治体のホームページや障害福祉課などの窓口などで確認しましょう。

療育手帳の等級によって、受けられるサービスは異なりますので、該当するかどうか自治体で確認して手続きをしましょう。

障害者控除

障害者控除とは、納税者本人、配偶者、扶養親族に障害がある場合の所得控除のことをいいます。

障害者所得税 27万住民税 26万
特別障害者所得税 40万住民税 30万
同居特別障害者所得税 75万住民税 53万

等級が、A相当の場合には「特別障害者」に該当し、通常の障害者控除よりも高い控除を受けることができます。

じ家計で生活している配偶者や扶養親族と同居している特別障害者は「同居特別障害者」に該当し、より高い控除を受けることができます。

  • 会社員の方は、年末調整で「扶養控除等の申告書」を提出する。
  • 個人事業主や年末調整対象外の方は、確定申告の際に申告する。

詳しくは、お住まいの税務署にお問い合わせください。

参考:障害者控除|国税庁

就労支援

「療育手帳」を取得していると、就労に関する支援やサービスを受けることができます。

障害者求人障害者手帳を持つ方が応募できる求人のことで、障害のある方が働きやすくなるような配慮が受けやすい。
公共職業安定所
(ハローワーク)
障害者求人を調べることができる。障害者用窓口もあり、職員と相談しながら、障害者求人の選択や面接の設定などを行う。
障害者職業センター就職のため訓練や、講習などを受けることができる。また、リハビリテーション計画の作成、職業適性検査など働くための支援を受けることもできる。

障害福祉サービス

障害のある方が、日常生活や社会生活を営むために、必要な訓練などを提供するサービスを受けることができます。

就労支援継続支援A型雇用型利用者は事業所と雇用契約を結ぶため、労働基準法や最低賃金が適用されるので「給料」が支払われる。その中で働く機会の提供や、一般企業への就職へ向けた支援を行う。
就労支援継続支援B型非雇用型利用者は事業所と雇用契約は結ばず、給料の代わりに作業に応じた「工賃」が支払われる。「就労移行支援」「A型への移行一般企業への就労」に向けた訓練を行う。
就労移行支援一般企業に就職を目指す障害のある方が、通いながらプログラムや実習を行う事業所。働くためのスキル取得に取り組むことや書類添削、面接練習などの支援を受けることができる。
就労定着支援生活介護、自立訓練、就労関係の福祉サービスを利用して就職した方が利用できる支援。働いた後に企業や利用者との定期的な面談や、業務の調整などを間に入って行い、長く働くことをサポートする制度。

申請方法

お住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口で申請します。

  • 申請書
  • 健康保険証
  • 写真(縦4㎝×横3㎝)
  • 印鑑
  • 母子手帳
  • 診察情報提供書や他の障害者手帳 など

申請した後に「判定」の予約をします。 18歳未満は「児童相談所」、18歳以上は「知的障害者更生相談所」で判定します。 判定を受けて申請が認められ場合、通常1~2ヶ月後で療育手帳が交付されます。

療育手帳は、手帳に「次の判定月日」の期限が記載されたものは、更新手続きをする必要があります。自治体によって異なるので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。

【体験談】うちの子の場合

うちの子(かっくん)の場合は、小学2年生で「療育手帳」を取得しました。

病気や障害のため、特別支援学校に通っていたかっくんですが、先輩のママさん達に

「療育手帳は、大きくなってからだと取得しにくくなるので早めに申請したほうがいいよ」との助言を受けて申請しました。

  • 1年生「特定できない広汎性発達障害」と診断受ける。
  • 2年生「療育手帳」を取得。(判定B-2)
  • その後の更新でも「B-2判定」継続。
  • 22歳の誕生月に再判定し、等級変更。(判定B-1

児童相談所での判定で、「知能指数「IQ」は境界線ギリギリだけど、生活や行動面に問題があり支援が必要。」といわれました。

更新判定の日の出来事

児童相談所での更新の判定の親子分離の面談中に「かっくんが逃走した。」と職員の方に言われました。更新の判定の知能検査が嫌で、向かいにあったスーパーに飛び出してしまったようです。その後、しばらくして職員の方と帰ってきましたが、とても不機嫌でその後の対応に苦戦しました。

22歳の再判定の出来事

ひきこもりで対人恐怖症な状態のかっくんをどうにか説得し福祉センターへ行きました。親子分離での判定中、途中で続けることができなくなります。子どもの状態などを説明し、途中までの結果とこれまでの話など判定していただくことになり、「B-1」等級変更の結果でした。

判定は、国で決められた判定方法に沿って心理判定員が行い、やり方にも決まりがあるそうです。うちの子の場合は、最後まで続けることはできませんでした。

下記で、発達障害について紹介していますので、参考までにどうぞ。

》【発達障害】種類や特徴、特性などをわかりやすく解説します!

》【発達障害】二次障害にはどんな症状がある?発症すると治りにくい【うちの子の場合の体験談】

まとめ

「療育手帳」とは、知的障害があると判定された方に交付される手帳のことで、障害福祉サービスや自治体などの提供するサービスを受けることができます。また、それぞれの自治体によって判定基準などが定められているため、等級なども自治体によって異なります。

療育手帳を取得すると、障害の証明や各種福祉サービスを受けることができます。

「療育手帳」は、申請や判定を受ける必要はありますが、支援やサービスが受けやすくなるので、うまく活用すると生きづらさや負担を軽くすることができます。

また、障害者割引や控除などもあり経済的な負担も軽減されることもあるため、対象となる方は取得を検討してみてはいかがでしょうか。

》【精神保健福祉手帳】対象者や等級、申請のメリットなどわかりやすく解説【体験談】

》【身体障害者手帳】種類や等級、申請方法やメリットなどわかりやすく解説【体験談】

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