【自立支援医療】精神通院医療や対象者、申請方法などをわかりやすく解説【体験談】

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「自立支援医療」って知っていますか?聞いたことはあっても詳しくはわからないという方が多いのではないでしょうか。

実際に私も、子どもの精神保健福祉手帳を取得して、かかりつけの病院でいわれるまで知りませんでした。

「自立支援医療」とは、障害の治療にかかる医療費の自己負担分を少なくする制度のことをいいます。

通常の医療費はたいてい3割負担ですが、自立支援医療制度を利用すると医療費が1割負担となり、経済的な負担を軽減することができます。

この記事では、3歳で発症した小児がんの闘病や、7歳で発達障害と診断を受け、二次障害を発症し引きこもりになった子どもとの波乱万丈な経験から、

  • 自立支援医療とは?
  • 自立支援医療の対象者は?
  • 自己負担上限額はある?
  • 精神通院医療の申請方法は?

などについてご紹介します!

「自立支援医療制度」とは

「自立支援医療」とは、心身の障害の治療にかかる医療費の自己負担を軽減する公的な制度のことです。

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

引用元:厚生労働省

自立支援医療は、都道府県や市区町村の自治体が主に運用しています。

対象となる人

自立支援医療には、3つの種類があります。

精神通院医療精神保健福祉法(第5条*)に規定される統合失調症などの精神疾患を有し、通院による精神医療を継続的に要する方。
更生医療身体障害者福祉法に基づく身体障害者手帳の交付を受けており、その障害を除去、軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる18歳以上の方。
育成医療身体に障害を有する子どもで、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる18歳未満の方。

*統合失調症、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する方のこと。

治療例
精神通院医療精神疾患向精神薬、精神科デイケアなど。
更生医療
育成医療
肢体不自由
(関節拘縮)
人工関節置換術
視覚障害
(白内障)
水晶体摘出術
内部障害
(心臓機能障害)
(腎臓機能障害)
弁置換術、ペースメーカー埋込術
腎移植、人工透析

利用者の負担上限額

自立支援医療の利用者の負担額は、所得によってひと月の負担上限額があります。

所得区分(医療保険の世帯単位)更生医療
精神通院医療
育成医療重度かつ継続*
一定所得以上市町村民税 235,000円以上
(年収約833万円以上)
対象外対象外20,000円
中間所得2市町村民税 33,000円以上235,000円未満(年収:約400~833万円未満)総医療費の1割
または高額療養費(医療保険)の自己負担限度額
10,000円10,000円
中間所得1市町村民税 33,000円未満
(年収約290~400万円未満)
5,000円5,000円
低所得2市町村民税非課税(低所得1を除く)5,000円
低所得1市町村民税非課税(本人または障害児の保護者の年収80万円以下)2,500円
生活保護生活保護世帯0円

*【「重度かつ継続」の範囲】 「疾病、症状等から対象 と な る方」

  • [更生・育成] 腎臓機能、小腸機能、免疫機能、心臓機能障害(心臓移植後の抗免疫療法に限る)、肝臓の機能障害(肝臓移植後の抗免疫療法に限る) の方
  • [精神通院]①統合失調症 躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症など)   ② 精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した方 「疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる方」
  • [更生・育成・精神通院]医療保険の多数回該当の方

参考:自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み〔pdf〕

患者の負担が過大なものにならないように、所得に応じたひと月あたりの負担上限額が設定されています。

経過的特例

自立支援医療の「重度かつ継続の一定所得以上」及び「育成医療の中間所得」の区分については、令和3年3月31日までの経過的特例とされていましたが、令和6年3月31日まで延長いたしました。

引用元:厚生労働省
重度かつ継続の一定所得以上市町村民税23万5千円以上の方で重度かつ継続に該当する方→自立支援医療制度の対象とした上で、自己負担上限額を2万円
育成医療の中間所得中間所得1(市町村民税課税以上3万3千円未満)の方→自己負担上限額を5千円 中間所得2(市町村民税3万3千円以上23万5千円未満)の方→自己負担上限額を1万円

平成22年4月から、自立支援医療(更生・再生医療)に、重度の肝臓の機能障害が加わります。

重症の肝機能障害患者の皆様へ 〔pdf〕

自立支援医療(精神通院医療)

自立支援医療(精神通院医療)は、通院による精神医療を続ける必要がある方の通院医療費の自己負担を軽減するための制度です。

対象となる人

  • 総合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • 薬物などの精神作用物質による急性中毒またはその依存症
  • PTSDなどのストレス関連障害や、パニック障害などの不安障害
  • 知的障害、心理的発達の障害
  • アルツハイマー病型認知症、血管性認知症
  • てんかんなど

精神障害や、その精神障害がきっかけとなり生じた症状*に対し

精神通院医療の専門の医師により、

病院または診療所に入院しないで行われる医療

  • 外来
  • 外来での投薬
  • デイ・ケア
  • 訪問看護

などが対象となります。

*その精神障害がきっかけとなり生じた症状とは、精神障害の治療によって生じた症状、精神障害の症状の躁状態、抑うつ状態、幻覚妄想、情動障害、行動障害、残遺ざんい状態などによって生じた症状のことをいいます。

対象外
  • 入院医療の費用
  • 公的医療保険が対象とならない治療や投薬などの費用
  • 精神障害ではない疾患の医療費

自己負担上限額

詳しくは上記の、利用者の自己負担上限額をご覧ください。

重度かつ継続

「重度かつ継続」の対象者。次のいずれかに該当する方です。  医療保険の「多数回該当」の方(直近の12 か月間に、国民健康保険などの公的医療 保険の「高額療養費」の支給を3回以上受けた方) ・①~⑤の精神疾患の方(カッコ内はICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類) による分類) ①症状性を含む器質性精神障害(F0) (例)高次脳機能障害、認知症 など ②精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1) (例)アルコール依存症、薬物依存症 など ③統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2) ④気分障害(F3) (例)うつ病、躁うつ病 など ⑤てんかん(G40)  3年以上精神医療を経験している医師から、情動及び行動の障害又は不安及び不穏状 態を示すことから入院によらない計画的かつ集中的な精神医療(状態の維持、悪化予 防のための医療を含む)が続けて必要であると判断された方

引用元:自立支援医療(精神通院医療)について〔pdf〕

一般的に、公的医療保険で医療費の3割負担ですが、1割負担に軽減されます

申請方法

お住まいの市区町村の障害福祉の担当窓口で申請します。

必要書類
  • 自立支援医療支給認定申請書
  • 診断書(通院している精神科の病院、診療所で作成を依頼)
  • 所得状況を証明する書類(課税証明書、非課税証明書や生活保護受給証明書、障害年金などの振込通知書の写しなど)
  • 健康保険証の写し
  • マイナンバーの確認書類など

医師の診断書は、

  • 精神障害者保健福祉手帳と同時に申請する場合
  • 前年の申請で診断書を提出した場合

などは診断書が省略できます。

手帳がなくても申請できます

自治体によっては必要書類が異なる場合がありますので、市区町村の担当窓口や、精神保健福祉センターにお問い合わせください。

申請後について

申請が認められると「自立支援医療受給者証」が交付されます

【自立支援医療を受けるとき】
  • 「自立支援医療受給者証」
  • 「自己負担上限額管理票」

を医療機関に提示する。

【受給者証の有効期限】

受給者証の有効期間は1年以内となります。

【更新】

引き続き、自立支援医療を受ける場合は、更新が必要です。

更新の申請は、有効期間終了3ヶ月前からできます。

病状や治療方針に変更がなければ、2回に1回は医師の診断書が省略ができます。

自立支援医療による医療費の軽減が受けられるのは、お住まいの都道府県や市区町村が指定した「指定自立支援医療機関*」となり、受給者証に記載されたものに限られています。詳しくは、お住まいの都道府県の市区町村の担当窓口や、精神保健福祉センターにご確認ください。

*病院、診療所、薬局、訪問看護ステーションのこと。

参考:自立支援医療(精神通院医療)について〔pdf〕

うちの子の場合

うちの子(かっくん)の場合は、15歳で「精神保健福祉手帳」を取得したことをきっかけに、かかりつけの病院から言われ「自立支援医療(精神通院医療)」の申請をしました

  • 3歳「小児がん(肝芽腫)」を発症し、治療により晩期合併症が残る。
  • 6歳「身体障害者手帳(薬剤性感音性難聴、4級)」を取得。
  • 1年生(6歳)「特定できない広汎性発達障害」と診断受ける。
  • 2年生(7歳)「療育手帳(判定B-2)」を取得。
  • 15歳「精神保健福祉手帳(2級)」を取得。「自立支援医療(精神通院医療)」申請。
  • 20歳「障害年金受給(1級)の決定」により、年金証書での等級変更申請。
  • 20歳「精神保健福祉手帳(1級)」を取得。
  • 21歳「自立支援医療(精神通院医療)」継続中。

申請や更新手続きは、2ヶ月~3カ月ぐらいかかるので、有効期限終了の3カ月前から受付けているので、なるだけ早めに手続きをしましょう

下記で、精神保健福祉手帳について詳しく紹介していますので、参考までにどうぞ。

》【精神保健福祉手帳】対象者や等級、申請のメリットなどわかりやすく解説【体験談】

まとめ

「自立支援医療」とは、心身の障害の治療にかかる医療費の自己負担を軽減する公的な制度のことです。

「自立支援医療」には、精神通院医療、更生医療、再生医療の3つの種類があり、患者の負担が過大なものにならないように、所得に応じたひと月あたりの負担上限額が設定されています。

受給者証に記載のある指定医療機関や薬局のみで利用可能で、通常の3割負担の医療費が1割負担まで軽減されます。

精神疾患の治療などは、長期間にわたることが多いため、経済的にも精神的にも負担に感じることが多いのではないでしょうか。

受けられるさまざまな支援やサービスを上手く活用することで、少しでも生きづらさや負担を軽くすることができますので、該当される方は申請してみてはいかがでしょうか。

》【小児がん】晩期合併症って何?障害の種類や症状などをわかりやすく解説【体験談】

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》【発達障害】子どもが不登校!きっかけや原因など対処するポイントなどを解説【うちの子の場合の体験談】