【発達障害】種類や特徴、特性などをわかりやすく解説します!

発達障害とは
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「発達障害」って知っていますか?最近ではテレビで特集されたり、当事者の話を聞くことも多くなりました。また「発達障害」を理解している医師も増え、診断や相談できる病院も増えてきました。

「発達障害」とは、生まれつき脳の働き方の違いで、子供の頃から行動面や情緒面に特徴があり、コミュニケーションがうまくとりづらく、発達に偏りがあることをいいます。

お子さんの育児や子育てに悩んでいませんか?発達障害は、脳の働き方の違いによる特性です。自分の育て方が悪いと、けして自分を責めないでくださいね。

この記事では、3歳で発症した小児がんの闘病や、7歳で「発達障害」と診断を受け、二次障害を発症し引きこもりになった子どもとの波乱万丈な経験から、

  • 発達障害とは?
  • 発達障害の種類は?
  • どんな特徴がある?

などについてご紹介します。

「発達障害」とは

「発達障害」とは、生まれつき脳の働きに違いがあり、行動や情緒に特徴がありコミュニケーションがとりづらく、生きにくさを抱えていることがある状態のことをいいます。

「発達障害」とは、子どもが成長していく過程で何らかの理由で心身の機能の発達が困難な状態をいいます。ふつうの子どもの発達にくらべて遅れているところはありますが、遅れていないところ、それどころか、すぐれた能力を発揮するところもあり、単純に、発達が遅れているというわけではありません。このように心身の機能の発達が、不均等でかたよっている状態を発達障害といいますが、それが、認知、学習、言語やコミュニケーション能力、社会性の発達、運動面など広い領域にわたって、発達の不均等や偏りがあるものを広汎性発達障害といいます。

引用元:佐々木正美著『完 子供へのまなざし』(福音館書店、2015年、P168)

精神科の医師
精神科の医師

本人や家族・周囲の人が、特性に合わせて対応を工夫することで、持っている力を活かしやすくなったり、日常生活の困難を減らしたりすることができるようになります。

伝えたいことが上手く伝わらず、トラブルに発展することが多いです。

発達障害の種類

自閉症スペクトラム症対人関係が苦手で、強いこだわりがあるという特徴をもつ発達障害の1つ。
アスペルガー症候群社会性やコミュニケーション、こだわりの強さや感覚過敏などの特徴がある発達障害の1つで、知能や言語の遅れがないもの。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)「不注意」「多動」「衝動性」などの特徴がある発達障害の1つ。
学習障害(LD)全般的な知的発達に遅れはないが、特定の能力を学んだり行ったりすることなどに困難が起こる特徴がある発達障害の1つ。
トゥレット症候群音声チックをともなう複数の運動チックなどが、 1年以上続く精神神経疾患のこと
吃音症言葉がスムーズに話せないなど、話を始めるときに最初の言葉に詰まったり、同じ音を繰り返したりする言語障害の1つ。

発達の不均等やかたよりは1人ひとり違うし、外見からではわからないことが多いです。そのため、誤解されることも多く、叱責されることが多くなり、問題児として扱われることがあります。

自閉スペクトラム症

対人関係が苦手で、強いこだわりがあるという特徴をもつ発達障害の1つです。

  • 言葉の発達の遅れ
  • コミュニケーションの障害
  • 対人関係・社会性の障害
  • パターン化した行動、こだわりなどがある
精神科の医師
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急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりすると、不安になりパニックになることがあります。

アスペルガー症候群

社会性やコミュニケーション、こだわりの強さや感覚過敏などの特徴がある発達障害の1つで、知能や言語の遅れがないものをいいます。

  • コミュニケーションの障害
  • 対人関係・社会性の障害
  • パターン化した行動、興味・関心の偏り
精神科の医師
精神科の医師

言葉の発達の遅れがないので、障害がわかりにくいこともあり、いわゆる空気が読めないといわれるタイプです。自分の得意な話になると、話が止まらずに話をしてしまうことがあります。

注意欠陥多動性障害(AD/HD)

「不注意」「多動」「衝動性」などの特徴がある発達障害の1つです。

  • 集中できない(不注意)
  • じっとしていられない(多動・多弁)
  • 考えるよりも先に動く(衝動的な行動)
精神科の医師
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物をなくしやすかったり、忘れ物が多いのが特徴です。待つことが苦手で、じっとしていられず気が散りやすいです。

学習障害(LD)

全般的な知的発達に遅れはないが、特定の能力を学んだり行ったりすることなどに困難が起こる特徴がある発達障害の1つです。

  • 聞く
  • 話す
  • 読む
  • 書く
  • 計算する
  • 推論する
精神科の医師
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学習障害(LD)のタイプは、「読字障害(ディスレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュリア)」に分けられます。

トゥレット症候群

音声チックをともなう複数の運動チックなどが、 1年以上続く精神神経疾患のことをいいます。

  • 多種類の運動チック(突然に起こる素早い運動の繰り返し)
  • 1つ以上の音声チック(運動チックと同様の特徴を持つ発声)
  • 1年以上にわたり続く重症なチック障害で、このような運動や発声を、本人はするつもりがないのに行ってしまうのが特徴。
精神科の医師
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「運動チック」とは、ジャンプや手を動かしたり、複雑な動きを繰り返します。 「音声チック」とは、鼻鳴らしたり声を出す、言葉を繰り返します。

吃音(きつおん)症

言葉がスムーズに話せないなど、話を始めるときに最初の言葉に詰まったり、同じ音を繰り返したりする言語障害の1つです。

  • 音の繰り返し
  • ひき伸ばし
  • 言葉を出せずに間があいてしまう
  • 一般に「どもる」と言われる話し方が特徴
精神科の医師
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同じ音を繰り返すことを連発れんぱつ、最初の音を引き延ばすことを伸発しんぱつ、言葉のタイミングが難しい難発なんぱつに分けられます。

発達障害の特性

「発達障害」の特性は、一人一人それぞれに違いますが共通する部分もあります。

発達障害の特性の本質をひとまとめにしていいますと、脳の機能の障害によって、脳に多様な機能を同時総合的に働かせることが上手くいかないということです。ふつうの子どもが、自然にできるようになっていくことが、なかなかうまくできないということです。日常生活のなかで、脳のいろいろな機能を同時総合的に働かせていることの一つに、コミュニケーションがあります。ふつうの子どもは、相手と目を合わせて、表情や身ぶりを使って、会話をしながらまわりの人とコミュニケーションすることができますが、発達障害の子どもは、それがうまくできないのです。

引用元:佐々木正美著『完 子供へのまなざし』(福音館書店、2015年、P171)

耳で聞くことよりも目で見ることが得意

言葉だけで説明するよりも、視覚を利用した刺激や情報を理解したり、記憶するのがとても得意です。

画用紙やホワイトボード、メモ帳などに説明したい事柄を、絵なども使いながらわかりやすく書き、読みながら説明すると伝わりやすいです。

物事の説明は、一から順番に書いていきます。赤や青などの色ペンなどを使い、重要な部分などの色分けするとわかりやすくなります!絵が下手でも大丈夫ですよ。

目に見えないものに意味を見出すのは苦手

「空気が読めない」とよくいわれますが、「相手の気持ちがわからない」ことから起きることもあります。

  • 話が途切れたら、何となく話を終わる。
  • 次の会話を始めたので、前の話は終わる。
  • 相手が少しムッとしている。
  • 相手が嫌な気持ちを我慢している。

はっきりと「終わります」「嫌な気持ちです」など言ってくれるとわかるのですが、相手を思いやって言わないことがほとんどですよね。だけど、それがわからないから話を続けたりしてしまうんですよね。

急な予定変更はパニックになる

決められた物事や予定などを、急に変更されるとパニックなり動けなくなることがあります。

  • 自分の使うものが、急に場所が変わる。
  • 決まった道順が変わる。
  • 習慣、パターン化、ルーティンなどを行わないと次に進めない。

買い物に行くお店を変えたり、学校の時間割が変わったりするとパニックになることがあります。事前の準備や確認をすることと、「変わることもあるかもしれない」と説明することでパニックを減らすこともできますよ。

感覚過敏がある

耳を押さえる子供「感覚過敏」とは、五感から受け取る刺激を、過剰に強く感じる状態のことです。不安やストレスがある時ほど過敏になります

聴覚過敏生活の電子音、冷蔵庫やエアコンの音、人の声や周囲の雑音が騒がしく聞こえる。
視覚過敏太陽光やパソコンの画面、真っ白い紙などが眩しく感じる。
触覚過敏衣服によっては肌にあたる感触で着れなかったり、ヌルヌルしたものを触れない、他人との握手が苦手。
嗅覚過敏犬並みの嗅覚を持ち、生活用品から外の匂い、大気たいきの匂いなどのにおいに敏感で、吐き気や頭痛につながる。
味覚過敏独特な食感や、舌ざわりの食べ物が苦手なため、極度の偏食につながる。

「感覚過敏」は、一人一人さまざまな感覚があります。また「過敏」な部分と、「鈍感」な部分があり、個人差があります。

物事を忘れることができない

物を目で見て「理解する」「記憶する」という特性から、記憶の仕方が違うことがあります。

写真や動画のように記憶する「カメラアイ」で記憶することがあります。それゆえ過去の嫌な体験、心が傷ついた体験などが、同じような状況の時に一気にフラッシュバックして、今現在に起きている事柄のように記憶が鮮明によみがえるので、とても苦しい思いをします。

過去の嫌な経験はトラウマとなり、その後の人生に大きな影響を与えます。できないことを叱責したりせず、できることに目を向けて成功体験の記憶がたくさんあるといいですよね!

「カメラアイ」とは、目で見たものを画像や映像で記憶する能力のこと。映像記憶ともいわれる。

好きなものや興味のあることはとことん追求する

「好きなこと、興味があること」には、とことん追求するところがあります。

基本的なことから物事のルーツや仕組みなど奥深くまで、疑問があればとことん知ろうとします。「好きなこと、興味のあること」の情報などは、内容を記憶していることもあり集中力を発揮します

時々「過集中」になることがあります。時間を忘れて活動するので、生活に支障をきたすこともあります。だけど、この過集中して作り上げた作品や世界観は、とんでもなく素晴らしいことが多いのですよ!

「過集中」とは、過度に集中した状態のことで、衣・食・住などの日常生活にも支障が出ること。

「発達障害」まとめ

「発達障害」とは、 生まれつき脳の働き方の違いで、子どもの頃から行動面や情緒面に特徴があり、コミュニケーションがうまくとりづらいことが多く、生きにくさを抱えていることがあることをいいます。

発達の不均等やかたよりは一人一人違いますし、外見からではわかりません。困った行動ばかり目につきやすいので叱責されることが多くなります

  • 皆はできるのにどうしてできないのか
  • 落ち着きがない
  • 自分勝手な行動ばかりしている
  • わがままである

このようにまわりの人からも身近な人からも「困った子だ」と思われがちです。でも、けして困らせたいわけではありません

「困らせたくてそうしているの?」と、癇癪かんしゃくを起こし、問題行動ばかりする子どもに聞いたことがあります。

困らせたいわけじゃないよ。ただ、ボクのことをわかってほしいだけなんだ~‼

  • 「自分の気持ちをどう伝えたらいいかわからない」
  • 「自分のことをわかってほしい」
  • 「できない自分も認めてほしい」

本当は、ただそれだけなんですよね。

「困った子」ではなく、「困っているのはお子さんの方」ということです。

  • どんなことに困っているのか
  • どんなことが苦手なのか
  • どんなことが得意なのか

私たちが、特性を理解して寄り添えば、想像もできないような素晴らしい世界を見せてくれます。一人一人の持つ素晴らしい「個性」に寄り添っていきませんか。

参考:こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

自己肯定感アップ!我が子に合った「ほめ方」がわかる!
伝え方コミュニケーション検定

参考:発達障害って、何だろう、|暮らしに役立つ情報|政府広報オンライン