【小児慢性特定疾病医療費助成】対象者や申請方法などわかりやすく解説【体験談】

小児慢性特定疾病とは
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「小児慢性特定疾病」って知っていますか?

医師と患者の保護者の間では、通称小慢しょうまんと略して呼ぶことが多いですよね。

「小児慢性特定疾病対策」とは、小児慢性特定疾病にかかっている子どもなどについての医療費助成の制度のことをいいます。

国が定めた子どもの慢性疾病を抱える子どもとその家族への支援やサポートを受けることができます。

この記事では、3歳で発症した小児がんの闘病により、小児慢性特定疾患の対象者となった子どもの医療費助成の申請をしてきた経験から、

  • 小児慢性特定疾病とは?
  • 小児慢性特定疾患の対象者は?
  • 小児慢性特定疾患の申請方法は?
  • うちの子の場合の体験談

などについてご紹介します。

「小児慢性特定疾病」とは

小児慢性特定疾病とは

「小児慢性特定疾病対策」とは、小児慢性特定疾病にかかっている子どもなどについての医療費助成の制度のことをいいます。

子どもの慢性疾患のうち、小児がんなど特定の疾患については、治療期間が長く、医療費負担が高額となります。小児慢性特定疾病対策は、児童の健全育成を目的として、疾患の治療方法の確立と普及、患者家庭の医療費の負担軽減につながるよう、医療費の自己負担分を補助するものです。

引用元:小児慢性特定疾病情報センター

国が定めた子どもの慢性疾病を抱える子どもと、その家族への支援やサポートを受けることができます。

対象となる人

小児慢性特定疾病にかかっていて、厚生労働大臣が定める疾病の程度である子どもが対象です。

  1. 慢性的に経過する疾病である。
  2. 生命を長期にわたりおびかす疾病である。
  3. 症状や治療が長期にわたり、生活の質を低下させる疾病である。
  4. 長期にわたり高額な医療費の負担が続く疾病である。

1~4の全ての要件を満たし厚生労働大臣が定めるものであり、18歳未満の子どもが対象となります。

18歳到達時点において、小児慢性特定疾病の対象になっており、さらに18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の者も対象となります。

対象疾病

対象疾病群
1.悪性新生物白血病/骨髄異形成症候群/リンパ腫/組織球症/固形腫瘍/中枢神経系腫瘍など一覧
2.慢性腎疾患ネフローゼ症候群/慢性糸球体腎炎/慢性尿細管間質性腎炎/慢性腎盂腎炎/アミロイ腎/家族性若年性高尿酸血症性腎症/常染色体優性尿細管間質性腎疾患/腎血管性高血圧/腎静脈血栓症/腎動静脈瘻/尿細管性アシドーシス/腎尿管結石/慢性腎不全など一覧
3.慢性呼吸器疾患気道狭窄/気管支喘息/先天性中枢性低換気症候群/間質性肺疾患/線毛機能不全症候群/嚢胞性線維症/気管支拡張症/特発性肺ヘモジデローシス/慢性肺疾患/閉塞性細気管支炎/先天性横隔膜ヘルニア/先天性嚢胞性肺疾患 一覧
4.慢性心疾患拡張型心筋症/拘束型心筋症/心室瘤/心内膜線維弾性症/心臓腫瘍/慢性心筋炎/慢性心膜炎/収縮性心膜炎/先天性心膜欠損症/乳児特発性僧帽弁腱索断裂/冠動脈起始異常/川崎病性冠動脈瘤/冠動脈狭窄症(川崎病によるものは除く)/虚血性心疾患 一覧
5.内分泌疾患下垂体機能低下症/下垂体性巨人症/先端巨大症/成長ホルモン分泌不全性低身長症/成長ホルモン不応性症候群/甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症/甲状腺ホルモン不応症/腺腫様甲状腺腫/副甲状腺機能亢進症/副甲状腺機能低下症など一覧
6.膠原病膠原病疾患/血管炎症候群/再発性多発軟骨炎/皮膚・結合組織疾患/自己炎症性疾患一覧
7.糖尿病糖尿病一覧
8.先天性代謝異常アミノ酸代謝異常症/有機酸代謝異常症/脂肪酸代謝異常症/ミトコンドリア病/糖質代謝異常症/ライソゾーム病/ペルオキシソーム病/金属代謝異常症/プリンピリミジン代謝異常症/ビタミン代謝異常症/神経伝達物質異常症/脂質代謝異常症など  一覧
9.血液疾患家族性赤血球増加症/血小板減少性紫斑病/血栓性血小板減少性紫斑病/先天性骨髄不全症候群/周期性血小板減少症/血小板機能異常症/先天性血液凝固因子異常/先天性プロテインC欠乏症/先天性プロテインS欠乏症/先天性アンチトロンビン欠乏症/骨髄線維症/再生不良性貧血など一覧
10.免疫疾患複合免疫不全症/免疫不全を伴う特徴的な症候群/免疫調節障害/原発性食細胞機能不全症および欠損症/自然免疫異常/先天性補体欠損症/好酸球増加症/慢性活動性EBウイルス感染症/後天性免疫不全症/慢性移植片対宿主病など一覧
11.神経・筋疾患脳クレアチン欠乏症候群/頭蓋骨縫合早期癒合症/もやもや病/脳動静脈奇形/海綿状血管腫(脳脊髄)/脊髄性筋萎縮症/先天性ニューロパチー/筋ジストロフィー/難治てんかん脳症/ビタミンB6依存性てんかん/早産児ビリルビン脳症/脊髄小脳変性症/小児交互性片麻痺/変形性筋ジストニー/先天性感染症など  一覧
12.慢性消化器疾患難治性下痢症/ポリポーシス/周期性嘔吐症候群/炎症性腸疾患/非特異性多発性小腸潰瘍症/急性肝不全(昏睡型)/免疫性肝疾患/肝内胆汁うっ滞性疾患/肝硬変症/肝血行異常症/難治性膵炎/短腸症/肝巨大血管腫/総排泄腔異常症など一覧
13.染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群 一覧
14.皮膚疾患眼皮膚白皮症(先天性白皮症)/先天性魚鱗癬/表皮水疱症/膿疱性乾癬(汎発型)/ 色素性乾皮症/レックリングハウゼン病/(神経線維腫症Ⅰ型)/肥厚性皮膚骨膜症/外胚葉形成不全/限局性強皮症など一覧
15.骨系統疾患胸郭不全症候群 /骨系統疾患一覧
16.脈管系疾患脈管奇形 /遺伝性出血性末梢血管拡張症/ カサバッハ・メリット症候群一覧

小児慢性特定疾病情報センター 医療費助成より作成

難病や子どもの慢性疾患に対する医療費助成の制度改正によって、平成27年1月から医療費の助成を受けられる「難病」「小児慢性特定疾病」の対象が拡大されました。

  • 法施行前の514疾病(11疾患群)→704疾病(14疾患群)に拡大。
  • 平成29年4月に18疾病、平成30年4月に34疾病、令和元年7月に6疾病、
  • 令和3年11月に26疾病→追加され788疾病(16症候群)が対象。

参考:小児慢性特定疾病情報センター

小児慢性特定疾病の医療費助成に係る自己負担上限額

階層区分
階層区分の基準
*( )内は夫婦2人世帯の場合
の年収の目安
患者負担割合:2割
自己負担上限額(外来+入院)
一般高額かつ長期
(※)
人工呼吸器などの装着者
生活保護0円0円0円
低所得Ⅰ

市町村民税非課税(世帯)

本人年収(~80万円)2,500円2,500円1000円
低所得Ⅱ本人年収( ~200万円)2,500円5,000円
一般所得Ⅰ市町村民税 7,1万円未満
(約160万円~約430万円)
10,000円5,000円
一般所得Ⅱ市町村民税 25,1万円未満
(約370万円~約850万円)
20,000円10,000円
上位所得市町村民税 25,1万円以上
(約850万円~)
30,000円20,000円
 入院時の食費全額負担

平成27年1月より適用「政府広報オンライン 所得に応じた医療費に係る自己負担の見直し」より作成

(※)高額かつ長期とは、 ①月ごとの医療費総額が、月5万円を超える月が年間6回以上あること。 (《例》医療保険2割負担の場合→医療費の自己負担が月1万円を6回以上ある。)

世帯の所得に応じて、治療費について一部自己負担があります。

自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算したうえで適用されます。

参考:「小児慢性特定疾病」の新たな医療費助成とは?|政府広報オンライン

申請方法

慢性疾病にかかっていることがわかったら、主治医の方から申請の説明がありますが、手続きの流れをご紹介します。

手続きの流れ

  1. 小児慢性特定疾病「*指定医療機関」を受診。→「指定医療機関一覧」
  2. 小児慢性特定疾病「⁑指定医」に意見書を作成。→「指定医一覧」
  3. 意見書と必要書類を揃えて、お住まいの自治体窓口で申請。→「自治体窓口一覧」
  4. 認定の審査と審査の結果の通知。

*「指定医療機関」とは、病院、診療所、薬局、指定訪問看護事業所のこと。⁑都道府県知事などに指定された「指定医」であること。

たいていの場合、お住まいの管轄の「保健所」が申請窓口になります。

必要書類

  • 小児慢性特定疾病医療費支給認定申請書
  • 小児慢性特定疾病医療意見書(指定医)
  • 療育指導連絡事項(指定医)
  • 市町村民税(非)課税証明書などの課税状況を確認できる書類
  • 住民票(世帯全員分のもの。)
  • 健康保険証の写し
  • 保険者への所得区分紹介についての同意書
  • マイナンバー、印鑑など

その他、重症患者認定者や人工呼吸器装着者に該当する場合は、別途申請書類が必要になります。お住まいの自治体窓口にお問い合わせください。

「小児慢性特定疾病医療受給者証」の有効期間は、原則として申請日から1年以内です。毎年の更新の申請が必要となります。

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業について

小児慢性特定疾病対策では、慢性的な疾病を抱える子どもやその家族の負担軽減や、長期療養をしている児童の自立や成長支援について、地域の社会資源を活用し、利用者の環境などに応じた支援を行います。

  • 療育相談指導
  • 巡回相談指導
  • ピアカウンセリング
  • 自立に向けた育成相談
  • 学校、企業等の地域関係者からの相談への対応、情報提供

幼少期から慢性的な疾病にかかっているため、学校生活での教育や社会性の育成に遅れが見られる子どもなどに、地域による支援の充実により自立の促進を目指すことを目的としています。

うちの子の場合

うちの子(かっくん)の場合は、3歳で小児がん(肝芽腫)と告知を受けてから説明がありました。

突然の告知にまだ気持ちの整理がつかない状態で、緊急の検査の同意書や、治療内容などのさまざまな同意書にサインをしました。その中の1つとして説明を受けました

3歳
  • 小児がん「肝芽腫」発症の告知を受け、小児慢性特定疾病医療費助成の申請。(毎年更新)
  • 長期間にわたり抗がん剤治療と切除手術を繰り返す。
  • 効果が乏しく超大量化学療法を経て、自家末梢血幹細胞移植をする。
  • それでも効果が見込めず、転院しさらに抗がん剤治療のため、転院先の病院追加申請。)
5~7歳頃
  • 抗がん剤の副作用の晩期障害が残る。(聴覚障害、腎機能障害、低身長、後発性甲状腺機能低下症)
  • 小学6年生で身長が伸びていないのに骨年齢が進んでいる。
  • 思春期早発症のような思春期も問題等もあり、*性腺抑制療法を始める。
  • 20歳で、治療終了。(小児慢性特定疾病医療費助成が、新型コロナ感染症の関係で1年間延長し、21歳で終了。)

*性腺抑制療法とは、大人の身長を十分高くするためには思春期を遅らせる治療のこと。

小児慢性特定疾病医療費助成があることで、高額な治療費が所得に応じての負担額になることは、経済的にとても助かりました。

その後の晩期合併症もあり、21歳(本来は20歳まで)まで毎年更新しました。

下記で、小児がん(肝芽腫)の治療のよる晩期合併症について紹介していますので、参考までにどうぞ。

》【小児がん】晩期合併症って何?障害の種類や症状などをわかりやすく解説【体験談】

まとめ

「小児慢性特定疾病対策」とは、小児慢性特定疾病にかかっている子どもなどについての医療費助成の制度のことをいいます。

国が定めた子どもの慢性疾病を抱える子どもとその家族への支援やサポートを受けることができます。

病気にはさまざまなものがある
  • 1~2週間で完治するという病気
  • 原因が分からず症例も少ないなどの治療法が確立していない難病
  • 幼少期から長期にわたり治療が必要な慢性疾患

これらの疾患は、治療が長引き完治しにくいことなど、肉体的にも精神的にも負担となり、医療費などの経済的負担を患者や家族が抱えることになります。

平成27年1月1日から施行された「難病」と「小児慢性特定疾病」の医療費助成が新たな制度になりました。令和3年11月には「指定難病」は338疾病、「小児慢性特定疾病」は788疾病に拡大され、今後も指定されるための要件を満たして審議会などで検討され、対象の疾病が拡大される可能性もあります。

参考:令和3年11月1日以降の小児慢性特定疾病の対象疾病リスト

》【小児がん】子どものがんの種類や症状、治療法などを解説【うちの子の場合の体験談】

》【小児がん】肝芽腫って何?症状や診断、治療法などをわかりやすく解説【体験談】